色が抜け落ちたことで静けさを得た。
モノクロームの作品が集められた、アーティストKazさん主催の企画
「 モノクロームの世界 」
GALLERY WEST ART POCKET にて開催中
ジャンルを問わず『モノクロ』をテーマにした
作品を制作されているアーティストが集まりました。
色味が抑えられた作品の数々は、
過度な誇張がなくて、ゆっくりと対面できる。
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さりいさん 「 生きる 」 |
スペースの天井から大きく垂れ下がった、さりいさんの書。
会場内の空気の揺らぎも多分に受けて、
立ち寄った人の視界を白と黒で埋める。
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みやもとさん 「 無題 」 |
白画用紙にペンというシンプルな画材の組み合わせは、
忘れがちだけどモノクロームだ。
また、モノクロという言葉の削ぎ落とされたイメージは、
なんとなく図形をも想起させると、勝手に思っている。
この作品の全ては「円」の「直線」を切り貼りしてできている
とか、想像してしまった。
だとすれば人の形に見えるモチーフの原型はどこにあるのか。
シンプルだから、如何様にも、如何様にも。
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マツザキユキさん 「 無彩色のポルカ 」 |
画面の隙間を埋め尽くすブラック&ホワイト&グレー
グレースケール表示も可能なのは、
視線を意識したペンギンの群れ。
三色で構成されたペンギンくんたちのコンディションを
私達が判断するとしたら、やはり瞳もしくは目であろう。
瞳の開き具合、睫毛の太さ、角度。
モノクロに重なる要素の存在の偉大さ。
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うめのさん 「 シンボルツリー 」 |
遠目に見たらブロックノイズにしか見えないのかもしれない。
しかし中央に、ブロックの呪縛を抜けて、
一本のシンボルツリーがそびえ立っている。
このシンボルツリーを認識することを始めとして、
このノイズまみれに見えた世界が、正しき姿を取り戻していく。
私達の中で。
と、ここまで展示会の一部作品をご紹介させて頂きました。
データとして考えるならば、カラーより情報量の総和は落ちるけど、
それでも飽きない、モノクロームならではの魅力。
あなたもご存知でしょう?
色数を削がれても、無くなることはなくて、
見え方が変わるだけ。
もし、自分の目に映らなくなってしまったとしても、
注視すると、何故か見えてくる。
それが楽しいから、あえてこの白黒に飛び込む方が
後を絶たないのだろうと思う。
本展示会は 6月22日(日)までの公開
(ぱんだ)