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"ぽよぽよハイツ105号室" へようこそ



もちもちほっぺのキャラや宗教、コスプレちっくなイラストを描く、
牧田なみなさん。

おもちでできたうさぎ「もちもち」、にんげんを描く、
わたなべもちもちさん。

二人が三日間、住処にした場所はココ
DESIGN FESTA GALLERY の一室。
部屋の名前は「ぽよぽよハイツ105号室」

とてももにゅもにゅしているよ。




わたなべもちもちさん


何も手がつけられていない余白/白紙にも
色と温度を分け与えるもちもちさんのイラスト。
ほんのりとしたイエロー、二の腕から伝わる体温。

熱心に手元の文庫本を近距離で熟読する姿。
ブックカバーが邪魔をして、彼女は何を読んでいるのか。
後ろから覗き込もうとしたら、ちくちく麦わら帽子が邪魔をする。

あぁ、もうすぐ夏なのだ。
彼女はバス停に居ると信じたい。


"Eggs Benedict"

" この人たちは
どこかでだれかといっしょにいます
だれかは この人たちの
なんでもない 一瞬が
どうしようもなく すきなのです "

マフィンを支える五本の指に、卵の黄身が滴り落ちそう。
左の手の指が唇に触れて、この後唇に汚れが付いてしまうのか、
またはこれから自分の口に運ばれるマフォンを想像し、
好物を食す直前の目まぐるしい思考回路が、
ためらいが形になったものか。

ふと視線をだれかに巡らせてはいるのだけど、
意識はどこまでの五本の指の上にある。


"サンドイッチ"

しっかりを目を閉じて、口元に運ばれたサンドイッチ。
溢れんばかりにサンドされた野菜の量、赤と緑が、
この光景に彩りをもたらしてくれている。

野菜の瑞々しい色彩を見ていると、
野菜も生きているんだなと思ったりします。

その表面に歯を立てて、
食い破って、私達の力になる。
イエローのシャツのが透けて、
彼の身体に流れ込む様子が見えるように。




そしてここで登場するのは
おもちでできたうさぎ「もちもち」
網の上で焼くというよりも、
電子レンジでチンしたときのふくらみに近い、ベビーフェイス。




おいしそう→いただきます→もぐもぐ

点で描かれた瞳は感情の揺らぎを見せにくいのだけど、
与えられた食べ物だけを見つめ、
ただそれだけに意識を向ける様が、
もちもちの生き様を潔く表していると思う。

えぇ、大変美味しそうである。
トースト、食べたくなってきた。




続いてご紹介するのは、牧田なみなさんの作品。

「神様」という存在に興味を持ったなみなさんは、
去年11月頃より85体の女神をキャラクターデザインした
作品シリーズ『女神図鑑』を制作。

今展示会では『女神図鑑』を展示するとともに、
登場した彼女達を元に新たなイラストレーションを展示。


" 甘い幻覚 "

モチーフの「神様」単体で描かれていた『女神図鑑』との違いは
描き加えられた、彼女達の居住/生活空間、
そして彼女達の生活風景が垣間見える点。

もちもちさんもなみなさんも、
シンプルな造形のキャラを多く描きつつも、
微細な線の揺らぎで表現する作品も同時に展開する。


" 秘密の宝石箱 "

描く対象と目的を検討した後に行われる
シンプル&細密の表現方法の使い分けが巧みである。

小さな女神はドレッサーの上に乗って、
己の美を見つめ、高めている。

無防備な本体の後ろ姿と
反射し映る表情を離れた所から眺めていると、
後ろめたい気持ちになる。

本来ならば誰も見る事ができない
女神でなくとも、女性であれば秘密にしたい出来事。


" 特等席 "

" モイライの春部屋 "

運命を紡ぐ三人姉妹。
人間の運命は糸の絡み合う紐に例えられ、
この女神たちが紡いだり長さを計ったり、
断ち切ったりして決まる。
(女神図鑑より)

長女のクロートは紡ぐ、誕生。
次女のラキシスは計る、計りは人生。
三女のアトロポスは断ち切る、死。

モイラという単語の複数形がモイライであり、
モイラの意はギリシア語で「割り当て」なんだそうで。

彼女達に割り当てられた行動の一つ一つは
誰にとっても重要な要素を左右し得るのだけど、
そんなことを知ってか、知らずか穏やかな表情だ。

それはそうだ。
外見は少女、中身は女神なのだから。


読み切り漫画
" Shunya (シューニャ)"
全51P

インドでいう数字の「0」「空」「欠如している」という意味をさすシューニャ。
包帯ぐつぐつ巻きの少女シューニャが、
ぐるぐる巻きの理由、包帯の下の謎、本当の自分は? と探すお話。

登場キャラのキャラクター設定、話の展開を
見事にタイトルに帰結させる構成力。

舞台を変えて「漫画」の世界では、コマ間の連続性の上で彼女達に動きが与えられ、
しかもその隙間に創造の入る余地もあって、それは格好の舞台である。
今展示会では非売品ですが、もしかしたら今後販売に至るかもとの噂あり。
これは是非読んで頂きたい。

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「ぽよぽよハイツ105号室」の様子をご紹介致しました。
既に展示会は終了しておりますが、
ホームページではお二方の豊富なアートワークをご覧頂けます。
こちらもほどよく、もちもちしています。

わたなべもちもちさん

牧田なみなさん

(ぱんだ)