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岸 野乃香 個展

いやいや、現在裏原宿はどっしゃ降り豪雨であります。ぴっかごろごろざぁーっ!。  
夏の午後に涼を運ぶ、横時雨(よこしぐれ)。な〜んて風情はございません。  
横殴りどっしゃ降り...、ギャラリーに逃げ込む通行人の方もちらほらと。  

そんなやけっぱちな「ザァーーーーッ!!!」BGMに包まれて、  
端正かつ機知に富む感溢れる個展が開催中であります。  
ッザァーーーーッ!!!音から少し遮断されて、  
日常の些事を「アート」でかいつまむ...。  
そんな、ふふふっと洒落た展示。  
岸野乃香さんの個展です。  
↓展示見取り図です。  
  
岸野乃香
「部屋で部屋のインスタレーション」

ふふっ、ON KAWARA氏の「浴室シリーズ」のような、
機智と、嬉しい企みを予感させる、この入口に貼られた見取り図。

図面左下のスペース入口に立ち、先ず目に入てくるのは「モップ/ほうき」↓
微妙に長さの違う「モップ/ほうき」4本。少し音符然としているような...。
日常の生活リズムを、スタッカートにちょちょんと区切る愉しさ...笑。
レディーメイドじゃありませんもちろん。岸さんの望む、
作品としての「モップ/ほうき」×4。

で、モップ→水→洗面台↓
上記の見取り図(インスタレーション構造図)では右上になります。
いいですねこれ、自立する蛇口と木製タイル貼りの洗面台。
水の抜け口と蛇腹パイプの先端は消失しています。
脳内で再生された、日常生活のイメージ。
大凡の些事。逆流する既視感...。

水で洗ったら、干します↓
干されています。イメージとしての洗濯物、.日常生活の模型、シュミラクル。
上下の眼の動きを産む導線として、高見から「干された」布を辿ると、
作業中と書かれた、布とロープとハンマーが視線に入ります。
この場が「作品」であることを再確認させる装置。
覚醒を促す、日常/非日常のスイッチ。
見取り図右の中央「布干す所」。
この展示は疑似生活場です。

その証拠置き場↓
疑似日常の証拠、痕跡、取り扱い書。そしてそれら自体の疑似システム一覧。
日常のストアレージ、再確認のための装置、想い出のように漠然とした手触り。
上の画像を良〜っくご覧下さい、値段がついている棚が幾つかあります。
購入出来るのです、このざらざらした不思議な既視感を。
連続した日常、積み重なり増幅する日々の営み。
脳の回路は、同じ路を通ろうとします。
各自が刷り込む各自のやりくち。

繰り返しが創る「何か」
続く「何か」、ただただ重なり痕を残す「何か」
「何か」って何でしょう?多分、街の集積所にあっても素通りしそうな「何か」
この展示「部屋で部屋のインスタレーション」を浴びた方ならわかります。
ここでの「何か」。作品として存在することによって作品になる。
それは、それこそが、「ファインアート」なのです。

出かけましょう、雨はもう上がりました。
疑似日常から、また熱帯の日常へ。
脳の回路は切り変わります。

覚醒を促す、日常/非日常のスイッチ。

岸野乃香
「部屋で部屋のインスタレーション」

WEST館 1-Cに於いて、
26日(月)まで。

続きます。





DFGスタッフ 石田