山本 真矢さん
厚く盛られた油絵の具がたまらない。質感だけで、滲み出るエロス。
こちらも、垂れた絵の具のマチエールが気持ち良いです。そしてこの少女、お腹がぱっくり割れ、そこから二人の顔と内蔵が覗いています。
そして、山本さんの紹介文もツボでした。「皆様ごきげんよう。」で始まるんですよ。なんであだながおーぐろなのかわからんのですよ。諸処「なんだそれ!?」と思うのに、字に妙に説得力があって、なんかわからないうちに納得してしまうんですよ。うーん、すごい。
これもすごいインパクト!指の角度とか、胸の質感とか!!淡い色彩で描かれているのも、溢れ出る妄想感が出ていて素晴らしいと思います。
https://twitter.com/ma_nununununu
佐藤 充さん
山本さんの作品だけでも「自分をこんなに出せるなんて勇気あるな!」と思う訳ですが、お次の佐藤さんもいやはや。「脳汁ハーレム」!!
これは、佐藤さんの「カワイイ女の子のどういった部分、どの部位、どんな雰囲気にぐっとくるのか?」という自分だけの価値観、言ってしまえばフェティシズムの追求。
赤に白抜きのキャプション。キャンプションだけで既に艶かしい。
こちらが『鼻血が金魚』の絵。いやらしい本を見て鼻血を出している女の子かと思いきや、授業中によく鼻血を出している女の子の絵、だそうです。単純に絵がかわいいし、上履き、金魚、鼻血と赤が連鎖していくのも面白い。そして鼻血を出している(カワイイ)女の子にぐっときている佐藤さんも良いなあと思います。私はたぶん鼻血を出している女の子にぐっとこないけれど、人から「なんでそこ?」と言われるところにときめいてしまうという意味では、深く共感してしまいます。
こちらのタイトルは『解脱しちゃった・・・』
このタイトルに、脱いだセーラー服、袈裟、しどけないポーズ、アンニュイな表情。「何があったんだ!」と思ったのは私だけではないはず。
http://www.pixiv.net/member.php?id=2098423
山崎 拓真さん
球体間接人形に名刺置きのインスタレーション、三点のさみしげな動物達の絵画。今までの「妄想押し出しました!」という二人ともまた違うのですが、山崎さんも独特の世界観を作り上げています。
アルタミラやラスコーの壁画を彷彿とさせる色合いに、ぽつぽつと 悲しげな動物たちの影が延びています。
薄らと「Où va la lumière ?(光は何処へ?)」の文字。旧約聖書の創世記に「光あれ」というのがあったなと思い出し、終末感が漂うなと感じてしまいました。その話をしたところ、「いや、ただ匂わせるのが好きなんですよ」と言いつつも「人形が持っている本、聖書なんですよ」と。私の深読みもあながち的外れではない、かもしれない!
http://www.pixiv.net/member.php?id=2371882
横田 伸一さん
いくつものキャンバスを繋ぎ合わせてできた、変則的な形の大きな絵です。
仮面をつけた人や死神、笑う炎。
シリアの情勢に着想を得て描き始めた作品なのですが、見識を深めていったところ、始めに抱いていたイメージとは違う側面に気がつき、それによって絵の意味合いも変わっていったという横田さんの作品解説と合わせて、興味深く鑑賞しました。
「作品について」とは別に、「自分について」の文章もありました。肩書きの重さに押しつぶされそうになる反面で、そこにプライドを持ってもいる自分を認め、「自分だけで立てる人間になりたい」、「大学で続けてきた油絵をやりきろう」と結論付けます。
ここまで自分を見つめ、その上でさらけ出すことはとても勇気のあることだと思います。絵だけではなく、文章に表れた横田さんの真摯な様にも胸を打たれました。
さらに来年の七月頃にF50号以上のサイズを集めた「50号展(仮)」を考えているのだとか!
タイトルの「壁を壊す創造」には様々な意味が込められていると思うのですが、私が一番感じたのは「自分自身の限界、壁を壊す」ということ。うちはオリジナルであれば審査もなく自由に表現できるのですが、それでも他人の目が気になる等様々な理由から自粛してしまう人も多々いると思うんです。でも今回こういう展示を見ることが出来て、改めて「自由に表現が出来るこの場を守って行きたい」と強く感じました。ブログを上げるのが遅くなってしまったけれど、この場を借りて感謝を伝えたいです。
DF STAFF KOZUE