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長坂ふき


EAST : AP-4

でんっ!と一枚飾られた、長坂ふきさんの作品。
デザフェスで出会ってから、毎回作品を拝見してましたが、

今回、更にばっさり、やられました。
それは僕の思うスロウアートの在り方そのものだったから。


穏やかな丘がゆるりと続く景色。
巨大な樹木!ってのは無いけど、
ぽつぽつと小さい花が咲いています。

その奥には雲で霞む雪山があったり。
おだやかです、おだやか。

その道のりの過程に、何か、いるんですよね。
名前もわからないけど、
理由もないけど、
多分、あいつは優しいやつなんです。

多分、ぺしぺし叩いても、あんまり反応がないんです。



穏やかな作品の下に、小さな冊子と名刺。
名刺の裏面が発砲インクで、もこもこ。

そしてこの冊子、良いんですよこれが。
余計な文字なんかどこにも無くて、
ただただ、穏やかな景色と、そこに放り込まれた彼だけがいるのです。



小冊子の一コマです。
見て下さい。
山の上に腰かけて、釣り糸を垂らして。

絶対こいつ、何も釣ろうとしてないですよ。
浮きがぴくぴく反応したって、微動だにしないですよ。

というか、釣りをしてないかもしれない。
でも、その様子に僕は憧れてしまう。

無心で何かをすることに。



力を入れるところ、外すところのバランス感覚が優れているのです。

作品を制作する時点から、注視されるであろう場所、背景であるべき場所を
見抜いてらっしゃるのでしょう。
それは感覚でもあり、理論にも基づいて。

上の写真はキャプションボードなのですが、
この部分にも文章のすき間を縫うかのように、彼が住んでいる。

彼には口が無い。
髪の毛に見えるような部分も、人間の構造であてはめるなら首で。
目らしき点はその根元についている。
首に通気口が空いてるようにも見える。

でも彼はそんな構造の上で確かに生きていて、
何かをしてるんです。

僕は彼を知らないけど、
彼となら仲良くやれる気がするんです。
この感覚、「わかる!」って方がいらっしゃったら、
是非、作品をご覧頂きたい。

もう、それだけで伝わると思います。
ぜひに。

展示期間は今週の土曜日となります。
この景色に吸い込まれてしまえばいいと思うのです。


(ぱんだ)