WEST:2-Cで行われている二人展。
上田言々さん、武永リヨさんの展示スペースです。
コンパクトなスペース内部に大小並ぶ絵画作品を
セレクトし、ご紹介致します。
武永リヨさんの作品です。
離れていてもはっきりと見える像の濃さ。
陶器にも似たざらついた質感が伺えます。
配色パターンがまんべんなく行き届いており、
隣接する作品は同世界の中に存在するかのよう。
こちらは椅子がモチーフの作品。
物理/空間的に作品中央を二分割。
背もたれ、脚部分から横に伸びる線のみ同色で、
それ以外は交互に青、赤橙。
ペンキが飛び散りながらも、年を重ね、愛用されたのか。
椅子の生きた生活臭と、これから先、椅子の行方の不透明さが同居して、
もの言わぬ物質の佇まいが、口を開くかのようで。
絵の中に登場する椅子はどれもシンプルな型。
その型にたどり着くまで何度、その身は解体されたのか。
これらは本当に物資の類いなのか。
疑いを向けたくなるのでした。
正反対の壁面に位置するのは上田言々さんの作品。
昨年度もDFGで展示して下さいましたが、今回は異なる空気。
(前回の展示の様子はこちら)
皮膚を刃物でなぞり、滲み出てしまった血液。
前回の展示を言葉にするなら上記のよう。
他者に見えるように提示されていたものが、
今回は奥底にしまわれていました。
奥まっているという表現はすれているかもしれません。
作品が示す焦点が変化してきているのかもしれないから。
額の有無だけが理由ではない、
どっしりと腰をすえた存在感。
変化はあれど、上田さんの作品であることは一目瞭然。
具体的に描写することを止め、新たな視点で描き続けているのでしょう。
展示は明日の土曜が最終日。
向かい合うお二人の作品に向き合ってみてください。
(ぱんだ)