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藍野まお、神田岳、Takumi、Chiho、Nobuhiko Nishimura、宮嶋友之、村田雄一郎、Yu Hirata、Riku Toyama 『パトスについて』



藍野まお、神田岳、Takumi、Chiho、Nobuhiko Nishimura、宮嶋友之、村田雄一郎、Yu Hirata、Riku Toyama 
『パトスについて』
2021.9.23-2021.9.26
at WEST 2-A

大学時代の写真部OB・OGと現役生が再集結して開催されているグループ展『パトスについて』。
アリストテレスのの提唱した「パトス」という言葉をそれぞれの解釈で表現した作品が展示されています。


大学写真部のOB・OG、現役生9名からなるこの展示は、ギリシア哲学においてアリストテレスが提唱した「パトス=情念」という言葉を写真で表現するという共通テーマのもと、それぞれが作品を構成しています。

哲学に明るくない人にとっては耳馴染みのない言葉かもしれませんが、英語の「パッション」という言葉の語源といえばわかりやすいかもしれません。ちなみに対義語は「ロゴス」で、こちらは英語の「ロジック」の語源です。




亡くなった祖母の住んでいた木造住宅を記録したというTakumiさんの作品。
そこにその人がいなくても、そこに「いた」という気配や機微を光と影、残されたものを丁寧に写しとることにより表現された作品です。




自身がよく聴いているというアーティストの曲からインスピレーションを得た藍野まおさんの「しょうもな」。タイトルをそのまま体現しているような直情的なポートレイト作品はまさに「パトス」を表現した作品。どうにもできないやるせなさややり場のない感情、脱力感が伝わってきます。




参加者の一人であるTakumiさんに伺ったところ、コロナ禍で写真を新たに撮りに行く難しさもあったといいます。そんな中、ある意味現状を象徴的に表現した作品がこちらの神田岳さんの作品。

新宿駅前の有名な飲み屋街を捉えたこの写真は、左側がコロナ以前で、右側はコロナ禍で撮影したもの。分かり易すぎるほど、そして痛々しくも感じるほどに横丁の風景が一変しています。




そしてこちらのNobuhiko Nishimuraさんの作品は、そんな閉塞感が漂う中でも希望を見出そうという意志が現れた作品。「HOPE」というタイトルが象徴するように、道端に打ち捨てられたマスクや路傍に停まるカラスなどのスナップの中心には、神々しく差し込む日の出を捉えた写真が据えられています。




本記事で取り上げさせて頂いた作品だけでなく、並んでいる作品にはテーマとともにそれぞれの撮影者の個性が現れた作品が所狭しと並んでいます。

ブック作品も含めるとかなり見ごたえのある展示となっておりますので、写真好きはもちろん、そうでない方もご興味がありましたらぜひお立ち寄りください。展示は9/26(日)まで開催中です。


【 展示スペース WEST 2-A 】

staff isaka