原液『殴って 満たして 私を救って』
2021.8.19 - 2021.8.25
[WEST 1-C]
自身の可愛らしい姿から自傷行為までも作品として展示されている原液さん。
1-Cの空間がそのまま原液さんの部屋になったかのよう。ひとりの少女の内面を覗いてみませんか。
約5年前から過食と拒食を繰り返し、3年前に過食嘔吐になったという原液さん。
「本当に吐き出したいのはごはんじゃない」という本音も、大量の薬や食べ物の容器や袋で隠されています。
現実逃避しているかのように体重計の表記が隠されています。
あの子は痩せてて可愛いとか、どうしたらあの子みたいになれるかとか、可愛くなるためには痩せなきゃ、食べないようにしなきゃって、そういうことで悩んだり妬んだり卑下したり。理想の自分になりたいと思うと同時に現実に絶望することだってありますよね。
部屋中に散乱した食べ物の容器は袋は、いつから食べているものなのかは分かりません。ですがひとりで口にしていたものだと考えるとあまりにも多すぎます。この大量の食べ物を一度摂取したことを大胆に見せているのは、もっと自身のことを吐き出したいけど吐き出せない、察して欲しい、分かってもらいたい、というSOSなのかもしれません。
足が自由に動かせる微かなスペースは、唯一座れる定位置でもあります。
そこに座って見えるのは、目の前や床には他人から見ればごみと思われるかもしれない空になったもの。
少し目線を上げるととびきり可愛い姿でスイーツを食べたり、吐いたり、自傷行為をしている姿の写真。
原液さんの疑似体験をしているようでもあり、原液さんをストーカーしているようにも思えてきます。
でもそれが危うい行為とは思わず、周りに広がる大量の空の容器や嘔吐写真を見て、こんなに食べて、吐いて、なにやってるんだろうって、どうすれば満たされるのだろうと自分のことのようにも考えてしまうのです。
展示は8/25(水)まで。
この部屋で彼女の内側を覗いた時、あなたは何を思いますか。
作家紹介
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