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河村菜々/石川理恵 『追憶』



河村菜々/石川理恵
『追憶』
2021.6.15-2021.6.21
at WEST 1-B

スタイルの異なる二人の作家、河村菜々さんと石川理恵による二人展。
「追憶」という共通のキーワードのもと、それぞれのアプローチで制作した作品が混ざり合うように展示されています。



女子美術大学に研究生として在籍する河村菜々さんと、文星芸術大学の大学院に在籍する石川理恵さんの二人展。抽象的アプローチの絵画作品を描く河村さんに対して、石川さんは写実寄りの風景画を描いており、二人のスタイルは対照的に見えます。

しかしながら、展示はご覧のように二人の作品が調和するようにレイアウトされており、「追憶」というテーマを二人の作品によって紡ぐことを試みた展示と言えるかもしれません。



こちらは石川さんの作品。
深い緑が目に飛び込んできて、どこかで見かけたような親近感のある風景を描いています。
それこそ、記憶の片隅にしまわれていたような、何気ない日常の一コマのよう。




親しみがあるからこそ、誰もが作品に没入し、自分ごとのようにこの景色を感じられる。
自分自身の体験なのか、あるいは映画やドラマで見かけたワンシーンなのか。鑑賞者の追憶を喚起するような、そんな魅力のある作品です。




一方の河村さんは、多様な色彩を画面内に所狭しと操る抽象的な作品。
石川さんの作品がリアリティのある風景なら、河村さんの作品は心象風景を描いてるかのような印象です。

分かりやすく具体的なモチーフはなくとも、いくつもの色や形、その組み合わせや濃淡の使い分けにより奥行きが感じられる表現など、語るべき要素が多い作品です。




記憶の中の風景は、脳内で再生するときにおぼろげなイメージで現れることがありますが、河村さんの作品は、風景として像を結ぶ少し前の映像のようです。

抽象だからこそ、見ている人は目の前の作品と近いイメージを記憶から探ることで、自身の中に眠っているものと作品を繋ごうとします。これは森の中だろうか?それとも夜の公園?など、想像力を働かせるように。

作品の中にある要素、鑑賞者の記憶の中にある要素、それらから近いものを見出したときに、言い知れぬ懐かしさを感じるかもしれません。




個々の作品にフォーカスすると全く違った個性を持つ二人の作品ですが、左側の河村さんの作品の中から伸びた見えない線が二つのパネルの間をはしり、石川さんの作品の画面左上の三角屋根と繋がるような並びが象徴するように、しっかりと同じ空間で調和していることが見て取れます。

静と動とも言えるような対照的な作品が並ぶ二人展は、6/21(月)まで開催中です。
ぜひ足をお運びください。


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河村菜々 
1999年生まれ 女子美術大学 研究生在学
受賞歴
2020 女子美術大学美術館奨励賞 受賞

石川理恵
受賞.活動経歴
2014 高校1年生 創元展埼玉支部 『Dream』 支部奨励賞
2015 高校2年生 創元展埼玉支部『海底遺跡』支部奨励賞
2016 高校3年生 創元展埼玉支部『海底遺跡』テレビ埼玉賞
2017 大学1年生 創元展本展『海底遺跡』入選
        創元展埼玉支部『波紋』埼玉県奨励賞
2018 大学2年生 創元展本展『雲』入選
        創元展埼玉支部 『卵』 埼玉県知事賞(最優秀賞)
2019大学3年生 創元展本展『Egg』入選(賞候補)
        創元展埼玉支部『エゴ』埼玉県奨励賞
        茨城県古河街角美術館『古河市ゆかりの作家展』
        三人展『Pink, Red and Blue』
        創元展本展出品子定 『Sushi』入選 柏賞
2021年3月文星芸術大学 卒業
2021年4月文星芸術大学 大学院1年生 茨城県古河街角美術館『古河市ゆかりの作家展』
現在文星芸術大学 大学院 在学中

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【展示スペース:WEST 1-B】
DFstaff isaka