Toba Yusaku
『undramatic daily life』
2019.2.21-2019.2.25
at WEST 2-D
世界25カ国を旅する過程で収められた数々の写真。
そこに映るのはけっしてドラマのような非日常ではなく、その土地で連綿と流れる人々の日常でした。
Taba Yusakuさんによるはじめての個展『undramatic daily life』では、自身が25カ国を渡って旅をした際に撮影したその土地々々の写真が並んでいます。
旅は身軽に越したことはないですが、大判フォーマットのカメラまで使用するなど、写真に対する情熱はかなりのもの。それ故一つひとつの作品がとても印象深いです。
こちらはアメリカで撮影されたもの。
筆者はこの写真を見たときに「これもうStephen Shoreじゃん!」とひと目見て思ったのですが、Tobaさん自身、まさにそのStephen Shoreに代表されるアメリカのニューカラー写真が好きなのだとか。
自分が影響を受けた作品を自分の中で解釈し、それを自分だけの表現として写真に落とし込むのは決して簡単なことではありません。
展示は大きく分けて2面で構成され、1面はL版の写真が、その対面には額装された美しいプリントが展示されています。
額装作品はほぼすべて大判カメラで撮影されたのだそう。
しかもこちらの作品のようなモノクロームの写真は、暗室で手焼きしたものです。プリントが美しすぎて思わず息を呑みました。これはぜひ実際に作品を見てもらいたい。
風景の切り取り方、バライタの艶のある質感と黒の締り、階調の表現、どれをとっても完璧な作品です。
こちらはラトビアの市街地で撮られた写真。
大判というとカメラをしっかりと三脚に据え、腰を曲げてじっくりと撮影するスタイルなので、これが大判で撮影されたものと聞いたときは心底驚きました。構図もレリーズのタイミングも、35mmカメラで撮ったような軽快さがあります。これまたプリントが美しい。
展示会のコンセプトを説明するステートメントには、dramaticに取り消し線がひかれundramaticと読ませる表現がされています。私たちにとって海外に行くことは非日常ですが、そこに暮らす人々は何ら変わりのない、普段の日常を過ごしています。
作品からは行く先々で暮らしを営む現地の人々に対する敬意と、親しみが感じられます。
自身の人柄によるものと、写真に対する真摯な姿勢が写真ににじみ出ている気がするのです。
デザインフェスタギャラリーでは日々様々な写真展が行われていますが、中でも大判で撮影した銀塩プリントはなかなか見れるものではありません。ぜひこの機会にアート作品としての写真を体感してみてください。
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Toba Yusaku
1993年生まれ
iPhoneから4x5フィルムカメラまで、多種多様なカメラを用い作品を制作している。
今回の写真展が初の展示。
instagram
https://www.instagram.com/tobby_ari/
HP
https://tobbyari.wixsite.com/tobayusaku
【使用スペース:WEST 2-D】