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松岡千明と森山景 『経る』



『経る』
松岡千明と森山景
2018.12.19 - 2018.12.21
[WEST 2-D,E]

そこに居るのは架空の人物か、それとも実在する人物か。
突如として表れた空間と住人に、現実の私たちは戸惑う。
しかし、その住人たちは私たち外部の者に対し、何も反応を示さない。

その様子に、もしかしたら、私たちのいる世界に彼らが表れたのではなく、私たちが
彼らの世界に足を踏み入れたのかもしれないと、その空間にいればいるほど、違和感に
迫られ、自身のアイデンティティが崩されていくような感覚に陥る。

リアルタイムで常に変化するこの作品、どうかご自身で目撃を。




松岡 千明:絵を描く人

壁に貼られたスケッチ、床に広げられた描きかけの作品、散らばる画材、
そしてこのアトリエの主であろう画家が黙々と作品を描き続けている。
部屋の主は外部のものに一切見向きもしない。
部屋に響くは一心不乱に絵を描き続ける彼女の鉛筆の音と、
ラジオから流れるロックのみ。

創作者にとってのアトリエは、体を休める部屋よりも、より自身の心の内を曝け出す場所だ。
鑑賞者は、作家の内側を覗いてしまったという背徳感を味わったのちに、
その空間で自身が認識されないということに気づく。
そして、覗くという行為で優位に立っていた自身の立場が逆転したことにハッとし、
存在意義への不安に苛まれる。





森山景

レースを幾重にも重ねられたカーテンをくぐり抜けた先、ふと足元を見ると、
”靴を脱いで”の一文。
部屋には誰もいない。今は外出中だろうか?
中を見回して見ると、シャボン玉の道具、床には無造作に生けられた花が置かれ
窓辺にポツンと置かれた机と椅子は、何かの作品を制作している様子が見受けられる。
よく見ると、部屋の壁のあちこちにメッセージのような、メモ紙が貼られており、
喜びの言葉や不可解なワードが記されている。
あちこちに散りばめられた持ち物と、あまりにも生々しい生活の匂いが、
ここに住む人物像を鮮明に浮かび上がらせる。
勝手に妄想を膨らませた鑑賞者は、今はいない住人と遭遇し、そしてその先に待ち受ける
ハプニングに遭遇することに思いを馳せる。


彼ら住人は常に部屋に存在する訳ではない。今回私が遭遇したものと全く同じものが見れ
るとは限らないのだ。
鑑賞する時間帯によって、全く違う作品にもなるであろう。
リアルタイムで変化する空間と存在からなる作品をぜひともご覧になってほしい。




出展作家紹介

松岡千明

2010年より高校の部活にてアナウンスを始める。
2011年より関西小劇場にて制作のお手伝いや出演を経験し、2013年上京。
演出助手・役者を務めながら多数の演劇の現場に関わり、
全国3都市ツアー、ヨーロッパでの公演にも参加。
2014年より作・演出・出演・美術・制作すべてをひとりで行うひとり芝居企画「matsucarpone」を主催。
現在は年に1回のひとり芝居と、イベントやライブ・発表会の司会・MC・アナウンスを
時々やっている。
「MPWS!」というワークショップを企画するなど製作者としても活動中。
基本的にはフリーター。絵と音楽が好き。
twitter:@don_josephine
HP:http://matsucarpone.strikingly.com/

森山景

twitter:@kay4586






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staff minako