多摩美術大学写真部
『またたき』
2016.9.14 - 2016.9.18
at EAST 301, 302
「またたき」を漢字で書くと「瞬き」となり、
一瞬、瞬間、瞬刻といった言葉のイメージと結びつきます。
そしてそれは、写真というメディアが生成される過程そのものを一言で表しているともいえます。
ある意味では写真の本質的な部分を捉えている言葉をテーマに据えた本展示は、それゆえ参加者それぞれに解釈の余地が与えられ、自由度の高い作品が集まっています。
302
多摩美術大学写真部の有志30名が参加する本展示はEAST 301, 302の2スペースで構成されています。こちらは302のスペース。
スペースによって作品に違いや規則性があるわけではないので、
ゆっくり肩の力を抜いて思うまま作品の鑑賞ができます。
『波残り』/ 酒元 理沙(情報デザイン学科情報デザインコース)
俯瞰的に捉えた風景の写真は、少し引いた視点から見ると抽象画のよう。
タイトルと写真が結びついたとき、かすかに波音や風音が聴こえてきそうですね。
『Veil』/ 中島 美砂(グラフィックデザイン学科)
瞬き<まばたき>の度に移り行く眼前の風景の連続したイメージのような、うすらぼんやりとした記憶のワンシーンのような雰囲気。
柔らかい光と被写体に被るヴェールがより一層そんな世界観を引き立てています。
瞬き<まばたき>の度に移り行く眼前の風景の連続したイメージのような、うすらぼんやりとした記憶のワンシーンのような雰囲気。
柔らかい光と被写体に被るヴェールがより一層そんな世界観を引き立てています。
301
ひとつ部屋を奥に移してこちらは301の展示会場。
余談ですがレイアウト、照明のあて方ひとつとっても、展示の仕方がキレイです。
6作からなる組写真はどれも光を特徴的に捉えています。
無機質で人工的な光、人の営みが感じられる光、暖かく自然が作り出した光が入り組んで全体として一つの作品を構成しています。
モノクロ写真は光と影の芸術と言われています。
白と黒の濃淡だけで時間、瞬間を表現する。
そんなモノクロ写真の特性が生かされている作品です。
『呼吸』/ 齊藤 彩(絵画学科日本画専攻)
まばたきをするように、自分の足元を連続して捉えた写真は、すべて同じ視点でもまったく違う瞬間。
泡沫をともなって押し寄せる波、風に揺らぐベージュのスカート、水を被って太陽の光に反射する白い足の肌、そのすべてが違った表情を見せ、「またたき」を表現しています。
展示は9/18(日)まで。
ここで紹介しきれないほど見応え充分な展示です。ゆっくりとお楽しみください。
【展示スペース:EAST 301, 302】
written by isaka