多摩美術大学 2年
『海のみち展』
2016.8.29-2016.8.31
at EAST 302, 303
多摩美術大学のグラフィックデザイン学科、生産デザイン学科、情報デザイン学科、彫刻学科、絵画学科油画専攻の有志計11名が参加し、深海の「みち」を表現したグループ展が開催されております。
まったく違う表現方法を採る学科、専攻の学生が一つのテーマの元に制作した作品が一堂に会するコンセプチュアルな展覧会です。
縛 / 森彩夏(情報デザイン学科メディア芸術コース)
『縛』という状態から、沈めば沈むほど増幅する深海の圧力を表現した作品。
縛られる=外部からの力が全身に力を加えられる状態は、
生身で深海に沈んだときに感じる圧に似ているのかもしれません。
もっとも、人が着の身着のまま深海に潜ることはできない。
だからこそ抽象的にそのさまが表現されています。
またモチーフとして使われている植物の花言葉からも着想を得た作品になっているそう。
sea she he / 辻まい子(グラフィックデザイン学科)
タイトルの言葉遊びが印象的な三連作。
しかし言葉遊びのような響きのタイトルをふまえ作品を見てみると、
ある女性の断片的な海での記憶が表現されているというふうに想像できます。
写真ではわかり辛いですが、一つひとつの絵の周りには言葉がか囲ってあります。
記憶を辿る・探るという行為は暗い深海を漂うようでもあります。
そして自分の求めていた記憶の断片が見つかったとき、
ぱっと視界が明るくなっていく感じ。
この作品を眺めているとそんな気分になります。
海の深みで. . . 生命体01~05まで / 川崎春希(彫刻学科)
こちらもいろいろと想像の余地がある作品です。
展示キャプションには「普段目にするものが見慣れない姿、形になることで、いつも見ている世界との違い、ギャップに生命の神秘を感じられたら」とあります。
一見すると人の手ですが、思いがけない形で指が出ていたり、他者の手先と渾然一体となっているかのように見えたりします。
日常生活でもっとも稼働率の高いであろう手と指が想像だにしない形で表現されていることや、またこの手や指は一体どんな場所でどんなふうに存在しているのかを考えてみるととても神秘的です。
わたしの庭に / 池上 惟(絵画学科油画専攻)
神秘的といえばこちらの作品も。
サイズ感もあいまって目の前にこんな情景が広がっている世界を一瞬でイメージしてしまいました。
自分の中に存在している世界は自分ですらうまく想像できない。
色も形もわからないけれど、たしかにそこに在るのだという感覚。
そんな観念的なものを表現したような印象を受けました。
今回のように学科・専攻の垣根を越えてこれだけの作品を縦断的に鑑賞できる機会は当館ではなかなかありません。
展示は明日まで開催。ここで紹介した作品は本の一部なので、ぜひお越し下さい。
参加者
グラフィックデザイン学科
提督 実玖 / 庄司 彩夏 / 辻まい子
生産デザイン学科
内山咲子(プロダクトデザイン専攻)/ 奥村 詩乃 / 倉 惇也(以上テキスタイルデザイン専攻)
情報デザイン学科メディア芸術コース
荻野 桃 / 森 彩夏
彫刻学科
川崎 春希
絵画学科油画専攻
入江 姫加 / 池上 惟
【 展示スペース:EAST 302, 303 】
written by isaka