『はじめまし展』
Mayu Masuda×Yui Yamashita
WEST 1-F:2016.3.7 - 2016.3.10
女子美術大学で洋画を専攻する山下結さんと、立体アート専攻の増田麻由さん。
違う分野を学びながら重なるテーマを持つ2人。
枠にとらわれない自由な世界が広がる、初の展示会です!
増田麻由
「依存」をテーマにすることが多いという増田さん。
かわいらしい作風に的確に皮肉をこめて、現代の歪みを浮き彫りにします。
「Pastime」 |
空洞で芯もなく、プラスチックボトルのような人間の容れ物。
「楽しさ」を象徴する液体が外側から注がれ続けているが、
決して満たされることはない。
何も感じていないような表情に一番こわさを感じます。
「Dependent on」 |
真っ黒になった人間らしきモノが、目を輝かせながら一心不乱に何かを吸い上げている。
スマートフォン、インターネット、サプリメント…
便利で害がないように見えるものも、正しく扱わなければその様相を変えます。
端から見れば不気味で異様な姿となり変わっていることに、気がつかない程に。
「Who am Iちゃん」 |
流行を追いかけて地層のようにまるまると着膨れた姿。
見せたかったものは、なんだったっけ。
「!?」 |
可愛らしい姿をし、女性の味方を謳い、有無を言わさず強制的に問題を排除する。
依存の象徴、かの有名なピンクの小粒。(実物!)
「Integrate」 |
「身体が土に沈んでいくような、溶け出していくような状態になりたい時があります」
今回の作品中では、唯一感覚的なものをベースに制作されたもの。
3つのパーツだけで、見えない部分まで広く深く演出された木彫作品。
偶然にも床の木目が波紋のようになって作品を包み込んでいます。
山下結
「寄生」「融合」をテーマに、洋画を学びながら立体アートにも挑戦する山下さん。
感覚的な部分から制作することが多いそうですが、完成したものは様々な要素を含みつつ
コンセプトにぴたりと合った作品となっています。
鳥も鶏肉も好き、という山下さん。最近はまっている鳩!
トップ写真で紹介した「手乗せ鳩」が様々な場所に出現する、
グラビア(?)写真たちも展示中。
作品本体とはまた違った味わいですね〜
「電子レンジ鳩」 |
初めは電子レンジを使ったビジュアルから入った部分もあるそうですが、笑
戦時中は機密文書を運ぶために人間に利用されていたこと、今は平和の象徴として
認知されていることなど、次第に鳩が持つ意味が重なりあっていったそうです。
この大きな鳩も、重要なものを守る存在なのかもしれません。
「風景」 |
「課題で出された風景画がいやでいやで、岡本太郎さんを最後に描くことを目標に
がんばって仕上げました」
なお、岡本太郎さんが描かれる前段階の(ふつうの)風景画、
その名も『太郎の居ない風景』がポートフォリオに掲載してあります。
もう写真の中でしか見られない作品…
「見て、見ないで」 |
コートを着込みながら、体内の内側の血管までさらけ出された姿。
自分は見てほしい、でも、顔は見せたくない。
矛盾する想いが大きな花となって顔を覆いつくします。
ポートフォリオのなかには「魅せたい、見せたくない」とも書かれています。
見せるのではなく、魅せたい。それが叶わないなら、見せたくない。「Pampering ~Truth in the stomach-」 |
羊は大きな愛情で守ってくれる。
過剰だと感じながらもそれは当たり前になり、次第に何もできなくなっていく。
表に出すことすらできなくなった言葉。
飲み込まれた言葉たちは折り鶴となり、羊の胃のなかに溜め込まれていく。
「大き過ぎる愛情にのみこまれ、甘え、寄生する感覚」
家族から一身に受ける愛情や、恋愛関係としての愛情。
純粋であるがゆえに毒となり、相手を傷つけかねないものでもあります。
ポートフォリオには、羊のその後が記録されています。
真っ二つに切断された羊から吐き出される言葉たち。
「壊して、捨てるために麻袋にいれる瞬間、まるで遺骨を扱っているような感覚でした」
羊との別れが示す、寄生と依存の終わりのとき。
進級制作としてつくられた洋画への反骨精神あふれる立体作品。笑
高い評価を受けて、見事、賞をいただいたそうです。
もともと、文章で表現することも好きだという山下さん。
まだ手紙は書き続けていて、もう少し溜まったら第2弾の制作も考えているそう。
大作が多くて持ち運びは難しそうですが、ぜひ実物を見てみたいです…!
山下さん(写真左)増田さん(写真右)、ありがとうございました!
ある授業で出会って、意気投合したというお2人。
作品や制作に対する想いがしっかりしていてどんどんお話を聞いていきたくなります。
洋画と立体という違う専攻の2人が互いの分野にちょっかいをだすように、
そして自分の分野と混ぜていくように自分の世界に変えていきます。(コンセプトより)
似ているようで、まったく違う部分もある。
お互いに認め合いながら、世界を広げていく。
話すうちに「それ知らなかった」「それわかる!」とお互い新たな発見もあったようで、
まだ底知れない可能性が秘められている…と、ますます楽しみに感じてしまいました。2人の発想の柔軟さと熱意があふれる素敵な展示会です。
足をとめてお話しされているお客様が多くて、みなさんとても満足そうに会場を
後にする姿が印象的。
Mayu Masuda×Yui Yamashita 『はじめまし展』は本日最終日!
ご来場、お待ちしております!
■増田麻由
http://mxtrrlol.wix.com/mayumayu
■山下結
【出展スペース:WEST 1-F】
DF STAFF nakagawa