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近藤美樹,信島こころ『共同アニメーション原画展』


近藤美樹,信島こころ
『共同アニメーション原画展』
2021.3.26-2021.3.28
[WEST ART CORNER]

アニメーション作家の近藤美樹さんと、背景画を務められた信島こころさんが共同で制作された自主制作アニメーション作品『探し人 -Seeker-』の原画展がWEST館のアートコーナーにて開催中です。
人が少なからず誰しも持つ「脆さ」。
コロナウィルスによるパンデミックは、人々に「死」をより身近に感じさせるきっかけを生み出しました。
そんな脆さと死生観を、独自の視点からファンタジックなアニメーションに落とし込まれています。


通路に面したスペースの壁面には地面から天井まで隙間なく、アニメーションの原画がびっしりと展示されています。
全て手描きで制作されており、描かれた膨大な枚数の原画がその労力とエネルギーを放ちます。
一枚一枚、丁寧に鉛筆で描かれており、その動きの一瞬一瞬を捉えている様は、よりリアリティのあるもののように感じます。


制作されたアニメーション作品の本編も上映されています。
セリフなどはなく、音は効果音(SE)のみで静かに展開されており、映像の視覚情報に没入することができます。
荒廃した砂漠をひたすら歩き、その中で主人公が出会う様々な「脆さ」の欠片が、主人公そのものに影響を与えていきます。
コロナ禍で外出の制限や人との接触機会が極端に減ってしまったこの1年。
作品の中ではせめて開放的に、自由な世界を感じて欲しいという想いから、この広大で壮大なスケール感でストーリー展開が行われているそう。
主人公が脆さに触れていく様子は、どこか治癒的な意味合いも含まれているように感じました。


そして背景画を描かれた信島こころさんの原画も展示されています。
荒廃した世界観がダイナミックに描かれ、ディストピアとはまた違う、ノアの方舟のような世界観は虚しくもとても美しく、神秘的なイメージに心惹かれます。
この世界の中で主人公が動き回る様子はとても壮大で、全体的に柔らかで緻密なタッチはどこか希望を示しているようにも感じます。


「脆さ」という単語自体は少しネガティブなイメージを持たれがちですが、お二人が描かれた世界は次の光に向けたメッセージのような。
コロナ禍という時代を生き抜くエネルギーも秘められているようにも感じました。
静かで神秘的な作品世界を、空間ごとじっくりご堪能くださいませ。

本展は3/28(日)まで。

作家詳細

近藤美樹
instagram:@mikikondooooooo
信島こころ
instagram:@gfrhm588

<スペース詳細はこちら>

[WEST ART CORNER]

staff kome