『顔が似ている展』
福本 莉夏/森 彩香/手塚 美月
2018.8.13-2018.8.15
at EAST 302
EAST 302では武蔵野美術大学の3人の有志によるグループ展『顔が似ている展』が開催中です。
いずれも武蔵美の油画学科に3年生です。
ただ作品は別。というか全くと言っていいくらいに作風はバラバラで、個性の強い作品が集まっています。
今年の1月にもDFGにて展示をしていた森 彩香さんは、その際の作品に加えて新たに写真にあるような作品を出展。油彩がで描かれている前作とは違い、今回のこちらのシリーズはデジタルで描画したのだそう。
野菜や果物などに顔が描かれた、ポップな色彩が特徴的な森さんですが、好きな食べものを描いている、というわけではないそうです。
続いての手塚 美月さんは絵画作品3点プラスαを出展。
こちらも一癖も二癖もある作品しかありません。
そのうちの1点が写真の作品。
見覚えのある人も多いかと思いますが、ピカソの大作『ゲルニカ』のオマージュ作品です。スペイン内戦当時に描かれた本家のバックボーンとは異なり、こちらは現代日本が抱える問題を描いたもの。
ではその問題とは何か、ですが、やがて来るかもしれない監視社会が孕む危険性を提起した作品なのだそうで、描かれているのは監視カメラにモニタリングされた電車の中。痴漢被害抑止と早期解決のために記録された映像は、カメラの画角が歪める遠近感により実際の電車内よりもどうしても立体感に欠けてしまいます。故に犯罪抑止には効果的である反面、証拠としての強度が高いために冤罪を生んでしまう危険もある。実際に見た景色とは違う、奥行きが排除された状態。それをキュビズム=”「単一焦点による遠近法」の放棄”により表現しています。
プラスαの作品ついてはこの写真にちらほら写り込んでいますが、実際に作品を見てみてください。全人類に親しみがあるものです。
前述の2人から一転して写実的な風景を描いているのは福本 莉夏さん。
スクエアの作品が整然と並んでいます。
写真で紹介する3つの作品は組作品となっています。
こちらは福本さんが電車を降り過ごし、意図せずたどり着いた葛西臨海公園周辺の風景です。
風景の切り取り方や余白の取り方がなんとなく写真的に思えます。
寝過ごしてしまったため、せっかくだからと散策したときに出会った風景。
だからなのか、少しぼやけているような、まだ眠気が取れないときにぼんやりと眺めているような感覚になります。空も分厚い雲がかかっていて、親しみがなく、また旅に出ているような高揚感もない、拠り所のない心境を暗示しているようにも見えますね。
明日が展示最終日となります。
3人とも気さくに話してくれるので、ぜひ会場まで足をお運びください。
【 展示スペース:EAST 302 】
written by isaka