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のだちなみ・波賀野文子




ペン画と日本画。
全く違うジャンルの二人が《水のいきもの》をテーマに
ちょっと不思議な空間をつくりあげました。

のだちなみ・波賀野文子 『-ちなみとふみこの二人展-』
EAST : 102 にて開催中です。




<展示会DM>



肌寒いけど心地良い日差しが差し込む会場。
穏やかな喧騒に包まれるこの場所で、
ひっそりと息をする《水のいきもの》たち

波賀野文子




大きな図体につぶらの瞳、
それで事足りるのか不安な鼻の穴、でっぷりした指先。
特徴的なビジュアルを更に、コミカルな造形にし、
岩絵の具で皮膚/粘膜を構成。
一筋縄ではいかぬ、サンショウウオの出来上がり。




彼の瞳は、図体から比較しても大きく、
それは彼の外見的特徴の大きな割合を占める。
瞳が大きいことは、ひとつのキャラクターとして認識し易い。

さて、顎から下にかけての真っ赤な皮膚の上に、
塗り重ねられた様々な色の絵の具は、
彼が確かに野生として、正に必至で生きていることを示す。
服なんか着ない、着飾ることもない。
そんな佇まいこそ、見るべきであると。




「流通名:ウーパールーパー」こと メキシコサンショウウオ

愛玩動物として白化個体(アルビノ)が、
ウーパールーパーとしてよく流通しているようである。

鮮やかな外見は、無邪気な子供のようで、
宙を見上げたなんとも言えない表情は、
ちょっと大人ぶっている、とも言えるかも。

のだちなみ




スカイフィッシュみたいな装飾が、
会場の中を泳いでいる。
そのすぐ脇に飾られているのは、のだちなみさんの作品。




白血球、赤血球、ナマコ...
今この瞬間も変形し続けることを容易に創造させるモチーフを
生成し、繋ぎ合わせることで異種、異物を生み出すのださん。

時には人間界に現実に存在するモチーフを
想起させるものもあるが、
一体これは?なんてものもある。




しかし、元来自然界には直線という概念はほぼなく、
田舎の道端で販売しているひん曲がったキュウリのように、
ひねくれて当然、全て違って当然なのである。

上記写真、中央部には白と緑の四角形が点在するが、
フリーハンドで描かれているため、近くで鑑賞すれば、
やはり歪んでいて、その歪さが生を感じさせる。




先ほど、赤血球なんてキーワードを書いたけど、
描かれたモチーフや情景が、
全てミクロであるとは限らない。

もしかしたら私達の目には見えないだけで、
今この瞬間も、私やあなたの目の前にぶら下がっているかもしれない。

空気中にだって、水分は漂っているし、
私達は万能じゃない。

あ、カラフルに色付けされた小石みたいな存在かもしれない。




具体性を持って描く、波賀野文子さん。
それとは対照的にのだちなみさん。

同じテーマを取り扱いながら、
同室で作品を展示しながら、
互いがひとつのまとまりの中で息をしていること、
それは私達の世界も同じだということ。

鑑賞を通じて、優しく、受け止めたいと思う。


のだちなみ・波賀野文子 『-ちなみとふみこの二人展-』
2015.11.23 - 2015.11.29

(ぱんだ)