女子美術大学メディアアート学科卒業
南郷あいさん、本橋智子さんの二人展
『 F# 』
男女の胸元をあらわにする刺激的なTシャツを
A to Z まで異なる男女に着せて、
撮影を行い、
並び替えて、
組み上がった文章。
南郷あいさんの作品は視覚を十分な程刺激しつつも、
冷静なコンセプトに基づいて制作されています。
切り抜かれた文字の間から覗く皮膚を読み取っていくうちに、
浮かびあがるのはシェイクスピアの文章の抜粋であります。
全文とまではまいりませんが、上記写真でも確認できるのではないでしょうか。
インスタレーションに近い作品だと思う、と彼女は仰っていました。
全て大文字のアルファベットで構成され、
それらは皮膚で着色されている。
単語の間の間隔
あければあけるほど文字は孤立し、
近接すれば塊として認識し得る。
また、全ての写真を同じ距離寄せれば関連性が生まれるわけでもなく、
写真の色、モデルの肉体、角度等
個々のアルファベットは仲間になる為に異なる条件を提示する。
作品と対面すると作品としてのパワーに圧倒されます。
おそらく、作家の本意以外のベクトルでも、
来場者は作品を楽しまれていることでしょう。
撮影依頼の交渉やそのボリューム。
話を伺わずともその苦労が見えてくる。
今作品の詳細な解説はここでは避けます。
是非、読み解いて欲しい。
照明を受けてきらびやかに光る円形のそれは
一体何が変化した姿なのだろう?
純粋な謎が浮かぶ。
本橋智子さんの写真作品
こちらの作品 "CIRCLEs" は
「水」を撮影した作品。
私の予想は当たりはしたのですが、
その姿をするりと信じることは難しかった。
暗い部屋でそれを部分的に照明で照らし、
揺らぎを起こして、捉える。
シャッタースピードを闇雲にあげるのではなく、
速度を落とし、変化の軌跡を地続きで見せることでも
このように美しい表情を写すことが出来るのだそうです。
私たちはそれを日常的に目にしているはずなのだけど、
身体の限界を超えた先でやっと近く出来る現象/姿は、
こういった機器を通してからでないと視認できない。
円という枠/形が与える印象は大きいのでしょう。
「地球みたいだ」なんて声も頂いたそうです。
多岐に渡る感想一つ一つが、作品の成果であります。
穏やかな事象の中にあるさざ波が
私たちの目には些細なことであったとしても、
近づいて、目を凝らしてみて見れば、
想像もつかない出来事が起きているのかもしれない。
見落とす というよりも 見過ごしていたものが
シャープにまとめられている。
今展示会は 12月16日(日) が最終日となります。
皆様のご来場お待ちしております。
(ぱんだ)