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こひ 『色々』 [1-C:11/20-11/26]

こひさんの『色々』展が始まっています。

去年行われたグループ展、『ぎゃざー!!!!』では、丹念に描かれた作品そのものも去る事ながら、床に平置きしたり下方をわざと壁面から浮かせたりなど、意図的な展示方法が大変印象的でした。
http://www.designfestagallery.com/diarypro/diary.cgi?no=4139

最終日にお話した時の「このシリーズもっといっぱい描きたいんですよ」という言葉を覚えています。今回の展示を見たとき、「ああ、実現したんだな」と真っ先に思いました。

 今回も目線よりずっと上から、
 下の方まで展示されています。
地面に根を生やしたたんぽぽや、ふわっと綿毛が飛ぶ様子などが自然と想起されます。

 そして椿。
上から下にぽつぽつと三点、椿の絵が展示されています。まるでそれは花弁ごとぼとりと落ちて散る椿そのもの。あの印象的で、華やかで、どこか不吉ながらも人々の心を捉えて離さない落花。

 何点も描かれたたんぽぽは、一つひとつ表情が違っています。これだけひとつのモチーフを描かれると、展示として厚みがあり、説得力があります。気になって1、2点描いてみたというのではなく、「これを描かねばならない」という必然性を感じて、納得してしまう。

その上、一点一点時間をかけて描かれているのも一目瞭然。世の中のスピードが早くなるに従って、どうしても一つのモチーフをとことん表現することや1点1点に時間を使い精力を注ぐことが薄れる傾向にあります。そんな中でこひさんの作品は、着実な満足感を与えてくれます。

 どのような思いで、どの位の時間をかけて描いているのかを、作品と作品の間の余白にふっと想像してしまいます。

そしてここまででお腹いっぱいなので紹介するか迷った、この作品。
こひさんはちょっとあれがあれな展示もしているので思わず「これはまぎれもなくあれですよね」と聞いたところ、「全く意図してなかったんです」との返事が返ってきました。今回の展示は全然そういうのとは真逆のベクトルで描かれた作品群だそうです。フロイト先生の精神分析にかけられたらアウトだなと邪推しましたが、それはさておき。

展示を見終わると、タイトルの『色々』という言葉に深みを感じます。もう『色々』としかまとめようがなかったのではないか、そんな気がするんです。

こひさんの『色々』を自由に感じに来て下さい。

DF STAFF KOZUE