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カメラ係 『忘れないという優しい裏切りと真実』


カメラ係 『忘れないという優しい裏切りと真実』
2021.7.22  -  2021.7.25
[WEST 1-D]

写真を通して記憶の曖昧さとその儚さというテーマ性を軸に活動を行われてきたカメラ係さんの個展が開催中です。
空間に入るや否や青の世界に包まれ、どこか浮遊感さえ感じられる心地よさ。
実像と記憶の間の表現を探る柔らかい世界観に浸ってみてはいかがでしょうか。

“忘れないという約束は
とても曖昧で裏切ることが多い。

忘れては思い出すを繰り返す
この約束の中にある
切なさと優しさの偽りのない
記憶を辿る不思議な世界で
忘れられていく

きみは何を想い 消えていくのだろう”
(展示キャプションより)


これまでも、数多くの青の世界を展開されてきたカメラ係さん。
この鮮やかな青は撮影後の加工で表現されたものではなく、撮影時のカメラの設定のみで調整されているという、一発撮りのスタンスによって表現されています。


青の中でも、年に1度の頻度でその年のテーマカラーを変更し、1年間同じ色味で撮り続けていらっしゃるそう。
これまでビビッドな鮮やかな青の作品を撮影されてきたカメラ係さんですが、今年度は少し赤みの強いブルーを採用し、紫がかった幻想的な色を醸しています。
青を強く入れることで非現実的で幻想的なイメージを強く残していましたが、少し赤みを入れることで、より肌に血色が感じられ、より被写体の人物が「実存している」という印象を与えているのだそう。



キャプションに記されている通り、今回の展示コンセプトとして「忘却」を色濃く提示されています。
忘れることは簡単でも、思い出すことは難しい。もしくは、逆のパターンも。
生きていく中で、今見た景色を刻銘に覚えていることは、もしかしたら不可能なのかもしれない。
「忘れる」ことは時に残酷ですが、思い出したその瞬間、私たちは一種の感動を覚えていることも確かです。
そんな、自分自身も制御することができない、あまりにも曖昧な記憶をメタ的な手法で表現されています。


ピントがしっかりと合ったものから、ぼやけて残像のみを残すものまで、揺れ動く記憶の様子が感じられます。
この紫がかった青には、よりその記憶のリアリティさが感じられ、非現実的なシチュエーションの中でもどこか記憶の片隅にあるような、そんな曖昧さをより強調しているようです。


今日見た風景、明日見る風景を、あなたはどれだけ覚えていますか?
「忘却」という記憶の切ない裏切りと現実の間を、じっくり感じてみてはいかがでしょうか。

本展は7/25(日)まで。

カメラ係さんは現在開催中の企画展『blue展』にも同時出展中。
こちらも併せて是非ご鑑賞ください。

blue展展示レポートはこちら

作家紹介

カメラ係
Twitter:@cameragakari

[使用スペース WEST 1-D]

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