瀬崎 杏里紗、西野 萌黄、葉村柚花
『BAAAN』
2021.7.5-2021.7.7[WEST 1-F]
現在、それぞれ美大にて学びを深められている3名によるグループ展示が開催中です。
「バーン!」というオノマトペをテーマに、ファッション、テキスタイル、グラフィックの観点から制作された作品が空間に散りばめられ、作家各々の世界観が融合した空間となっています。
一部となりますが、展示の模様をご紹介致します。
瀬崎 杏里紗
多摩美術大学テキスタイル専攻に在学中の瀬崎杏里紗さん。
本展では、大胆に、そしてしなやかに凛と咲き誇る植物がとても印象的に表現されています。
染色技術を駆使し、おおらかに、時に繊細に表現されている本作は、少し距離を置いたり、ぐっと近づいてみたり、鑑賞の距離感によって様々な発見があります。
そして展示空間の中央に吊り下げられているのは、シックでモダンなパターンが美しい傘の作品。
よく見ると、持ち手の部分が銃の形状になっています。
「BAAAN!」というテーマを、直球でそれでいて斬新に表現されており、雨を吹き飛ばし、晴れやかな気持ちにさせてくれる気持ちの良い作品です。
西野 萌黄
同じく多摩美術大学グラフィックデザイン科に在学中の西野萌黄さんは、ファッションと消費社会の問題に着目。童話「桃太郎」と融合し、マッシュアップしたスタイリッシュでコンセプチュアルな作品となっています。
「ファストファッション」という言葉が生まれて久しいですが、現在までに消費社会は加速の一途を辿っています。
今回西野さんは、中でも繊維リサイクルの観点から、思い出の詰まった古着などを譲り受け、それらを桃太郎の登場人物として蘇らせ、新たな価値を与えています。
写真作品の衣装は袋に圧縮され、まるで衣類に込められた様々な価値を封印しているようにも感じられます。
葉村 柚花
武蔵野美術大学インテリアデザイン専攻に在学中の葉村柚花さんの作品は、梶井基次郎の代表作『檸檬』をデザインの観点から様々な切り口でビジュアライズしています。
本と戯れるように配置された可愛らしいレモンたちは、『檸檬』の作中に登場する、主人公が本屋に仕掛けたレモンからインスピレーションを受けたプロダクト作品。
丸くてコロコロとしたフォルムがかわいらしく、本を食べているような、そんな遊び心も感じられます。
そして、並び立つ透明なアクリル作品は、同じく『檸檬』の一節をローマ字化し、見る角度によって節が読解できる視覚的な作品です。
あらゆる角度から観察し、有名なあの節やこの節を探してみてくださいね。
「BAAAN」というオノマトペから連想される3名各々の物の見え方、価値観、表現方法。全く異なりながらも、それぞれが作品制作に真摯に向き合われており、その洗練された世界観が融合した展示空間となっています。
一点一点の作品の芯の通った力強さがとても印象的で、鑑賞者も思わず没入してしまいます。
是非、じっくりと作品との対話を楽しまれてみてはいかがでしょうか。
本展は本日7/6(水)まで。