おさかな (真生・さかもとざねり)
ニ人展『AMIE』
2021.6.13-2021.6.19[WEST 1-A]
ふんわりと柔らかく、昔懐かしいメロウな雰囲気のタッチで描かれた猫耳の少女と、モノトーンでありながら、鉛筆の柔らかい印象がエレガントな猫耳の青年の像が目に留まりました。
対になっているこちらの作品は、左から作家の真生さんとさかもとざねりさんによる作品です。
それぞれ異なる技法でありながら、優しく柔らかいモチーフと作品作りがあたたかい印象を醸しています。
真生
そのふんわりとした世界観の中でも、少女の顔にヤモリが貼り付いていたり、キャラクタライズされた動物たちが人間と同じように生活していたり。
シュールでありながら不思議な違和感を感じる作品世界を味わうことができます。
こちらの作品も、色とりどり花々が美しく咲き誇り、とても印象的に制作されています。
様々な画材を使用した作品がずらりと並びますが、不思議とそこに違和感はなく、統一感のある作品世界が様々な形で表現されています。
真生さんの作品を鑑賞していると、きらきらふわふわ、夢の中を気持ちよく漂っているような、そんな不思議な感覚に包まれます。
混じり気のない優しい世界にほっこりと心が安らいでいくよう。
是非一点一点、それぞれの世界観を噛み締めながら鑑賞されてみて下さい。
さかもとざねり
少年の肖像を中心に、鉛筆画と銅版画作品を展開されているさかもとざねりさん。
緻密で丁寧に描き出されている肖像の数々はいずれもモノトーンで表現されており、クラシカルな印象を強く残す「美」を感じさせます。
こちらの鉛筆画は、鉛筆特有の柔らかいタッチをベースに、どこかノスタルジックなイメージの少年が描かれています。
瞳に浮かぶ涙が光り、その憂いを帯びた表情がとても印象的です。
そして銅版画作品もまた、鉛筆画の柔らかい「塗り」の部分を一線一線で表現され、ペン画と鉛筆画の中間表現といったような絶妙な柔らかさを醸します。
写実的な鉛筆画とはまた違った、少しデフォルメされた少年像はとても愛らしく、銅版画独特のモダンなタッチで少しファンタジックなイメージにも感じられますね。
今回はなんと展示作品の銅版画の「版」も展示されています。
手彫りとわかるその丁寧さがありありと伝わり、その手仕事の緻密さに圧倒されること間違いなしです。
是非間近でじっくりとご鑑賞下さいね。
お二人それぞれ、異なったアプローチで生み出される少年少女像。
ニュアンスの違いこそあれど、お二人の作品世界からは共通の柔らかく優しい部分がじんわりと滲み出ています。
白と黒、それぞれの美の世界に時間をかけて浸ってみてはいかがでしょうか。
本展は6/19(日)まで。
作家詳細
真生
Twitter:@a5omao
さかもとざねり
Twitter:@h_zanelli