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濱口志鳳 『濱口志鳳 個展 「私の花」』


濱口志鳳 『濱口志鳳 個展 「私の花」』
2020.11.27-2020.11.29
[WEST 1-D]

スペースの入り口に立つと、ダイナミックな花々の数々に圧倒され、思わず吸い寄せられてしまう方が多いのではないでしょうか。
華道家の濱口志鳳さんによる当館初個展が本日最終日となりました。
美しく斬新な、生け花の概念を覆す華道の世界を是非ご堪能下さい。



生け花と聞くと、洗練された雅さや花の美しさといったものが全面的に表現されているものというイメージでしたが、その考え方がごろっと変わりました。
華道の中でも草月流という流派の師範として活動されていらっしゃる濱口さん。
草月流は、数ある流派の中でも自由な表現を認めている流派だそうで、濱口さんもまた型にはまらない作品を数々生み出されています。

こちらはなんと結束バンドが至る所に結びつけられていたりと、使用する植物の持つ個性的な形状とリンクするような表現方法に力強さと面白さが感じられます。



こちらは薔薇の花をメインとした作品。薔薇の“花”はよくモチーフとして注目されるイメージですが、本作では薔薇の“トゲ”に着目されています。
華奢な刺がスッと通っている白い枝と、健康的な刺を持つ薔薇の組合せは、茨の美しさを強調し、淡いピンクを纏った薔薇の花の存在感をより引き立たせます。
壁に映る刺の影もとても美しいです。


こちらの作品は、カラーという白い花と、モンステラという南国の植物を組み合わせた作品。
1枚の大きい花びらがくるんと巻かれているような形状のカラーの花の形を、モンステラの葉を内側に巻き込むことで表現されているそう。
全く別の植物を、見た目や形状でリンクさせひとつの作品として仕上げられている様子に、生け花の面白さと無限の可能性を強く感じました。


画面に収まりきらず、とても悔しいのですが…
スペースの端から端まで、3本の5mを超える竹が放射線を描くように架かっているのです。
もじゃもじゃっとした枝葉と対照的に、隙間を縫ってまっすぐに伸びる竹との対比が非常に面白い作品です。
あらゆる角度から是非じっくりご鑑賞下さい。

生けられている植物そのものもとても美しいのですが、花瓶にも是非ご注目下さい。
形状や素材にいたるまで、独特で斬新なデザインの花瓶が植物と一体となってその世界観をより強固なものにしています。

もともと生花店で勤務されており、その後、華道の世界にのめり込んでいかれたという濱口さん。
少しお固いイメージがあった華道の世界ですが、濱口さんの自由な表現を拝見していると、型にはまらない面白さや遊び心まで感じられ、華道の世界への親近感や奥深さを十二分に感じることができました。
ダイナミックで自由で美しい作品の数々を、間近でゆっくりじっくりご堪能下さいませ。

<スペース詳細はこちら>

[WEST 1-D]

staff kome