灰色の群 『standing on her flowers』
灰色の群 『standing on her flowers』
2019.8.17-2019.8.19
[WEST 2-D]
歩行するための四肢である"足"。
中でも人間は二足歩行を行う数少ない生物です。
普段、靴などで覆い隠された足は、四肢の中でも特にミステリアスな存在。
その全貌が晒される瞬間、少しドキッとしてしまう方も多いのではないでしょうか。
ミニマルで美しい、灰色の群さんによる写真展が開催中です。
灰色の群さんは、今回の展示にあたって女性の足を花のような存在として捉えていらっしゃいます。
普段、地面に直に接している足は、天に向かって咲く花とは対照的に見えるかもしれません。
しかし、その普段隠された足が素足になった時、なんとも言えない優美さや可憐さが発揮されると彼は仰います。
向かって左の壁一面に設置された風景写真と、その中にぽつりぽつりと配置された女性の足。
足の裏であったり、膝下など、女性特有のほどよい肉質の様々な足に目を奪われます。
棒状の立体を踏みつける足は、まるで手で物を掴んでいるように力強く、その隣に配置された大型重機の写真は、足のイメージを比喩的に表しているようにも感じられます。
しかし実は、写真の配置は全て搬入時に決められたそうで、配置を意図して撮影されたものではないそうです。
写真の配置によって、足と風景写真にどことなく繋がりが感じられたり、思考の探求を促してくれる役割も果たします。
あなたはこの写真群から何を感じ、何を考えるでしょうか。
個人的に気になった作品がこちら。
手の上…かと思いきや、ミニチュアが足の裏に乗せられています。
普段、関節や指の形、足の裏のことなど全く気にせず生活を送っていましたが、
器用に曲げられた足の指の長さや土踏まずの湾曲した様子、そして筋張った足の甲など、よく観察して見てみると、足にも一人一人にきちんと個性を感じられることがわかります。
そして展示スペースの中央に配置されているこちらの作品。
実はこちらの作品は3つの写真が繋ぎ合わせられたもので、真ん中の写真は谷崎潤一郎のボ墓石のを撮影したものだそう。
耽美でフェティズムを感じさせる作風で知られる彼の墓石には、「寂」の文字のみ掘られているそうです。
さらにその両脇からは斬新な角度で投げ出された足が生えるように配置されています。
実は足フェチとしても知られている谷崎。
匿名性のある足と墓石からは、その耽美で猟奇的な世界観がありありと伝わってくるようです。
足という物質、概念そのものを考えてもらう展示にしたかったという灰色の群さん。
顔や手だけでなく、足にも個性があることを表現したかったという。
本展では8名の女性モデルさんを起用した作品が並べられていますが、ポートレート写真は一枚もありません。
匿名性のある足だからこそ、その中の個性や在り方、美しさを再発見できる機会になるのではないでしょうか。
本展は8/19(月)まで。
URL:http://sweetcirce.com/
<スペース詳細はこちら>
[WEST 2-D]
staff kome