阿部なな子 『room』
2019.8.30-2019.9.1
[WEST 2-E]
清楚で繊細で、清らかなポートレートが並ぶ空間。
じっとこちらを見据える少女の表情は、一体何を思うのか。
アクリル絵の具で紡ぎ出される阿部なな子さんの個展が開催中です。
オレンジとマットカラーのブルーが特徴的な阿部さんの作品。
作品のほとんどが首から上を描いた人物像ですが、そこには個性を取り払った静寂の空気が流れます。
目に光を入れないことで、人物がどこを見ているのかわからない、不思議な空気を纏います。
今回は「部屋（アトリエ）にいる感じを出したかった」ということで、壁にはキャンバス画の他に、
キャンバスに写される前の鉛筆のラフ画や、絵の具のドローイング、色鉛筆と水彩画による小作品など、阿部さんの制作のかけらが随所に散りばめられています。
こちらはひとつまえの写真中央に映された作品のラフ画となる鉛筆画。
完成した作品と見比べてみるとまた見える表情が違い、様々な試行錯誤によって着色がなされていることが感じられます。
また、阿部さんの作品は髪型にも特徴が。
奥行きや立体感がありながらも、ぺらっとした平面的な描き方の髪の毛は、アルフォンス・ミュシャから影響を受けているそう。
まとまりがあってデフォルメされた髪は、ふんわりと舞う印象がどこかチャーミングで、その無表情の中にも優しい風を運びます。
最近は石も好きでよく描いているそう！
切られた部分が角度を変えるとピカピカと光りそうな石もあれば、丸いフォルムの艶めきが美しい石も。
想像で描いたオリジナルの石からは、世界にひとつだけの輝きを放っているように感じられました。
そして今回は自作の鉱石のピアスも！ポリマークレイという樹脂粘土を使用し、色味を絵の具で調合したりして石の独特の独特の風合いを出されています。
つるりとしたフォルムの石は、同じものがない一点物。
軽やかに耳元で揺れる鉱石を身につけてみませんか？
オレンジの髪の少年少女。
無表情の彼らの中に感じられるどこか優しい雰囲気からは、気持ちを平らにしてくれる印象も感じられました。
彼らと向かい合った時、あなたの目に映る彼らはどんなメッセージを発しているでしょうか。
本展は9/1（日）まで。
会期中は阿部さんの似姿絵企画も開催中とのこと！
ゆっくりじっくり、阿部さんのアトリエに赴いたように、空間ごとご堪能ください。
URL：https://nanakoabe.tumblr.com
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[WEST 2-E]
staff kome
