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タナカヒカリとヨシダレナ 『BODY』



タナカヒカリとヨシダレナ 『BODY』
2019.3.4-2019.3.6
[WEST 1-G]

高校時代に同じ画塾に通い、共に武蔵野美術大学に進学した二人による展示が開催中です。
様々なアプローチから「身体」を捉えた本展。
二人が考える、全ての生命体が保持する「身体」とは。

タナカヒカリ



《NUDE》

丸く切り取られたキャンバスに女性的な乳房が描かれた本作。
桃を割った時、女性の胸のように艶やかで美しいと感じたという。
自身の唇でもって描いたという本作は所謂キスマークの生生しさではなく、桃の果実のようにみずみずしく淑やかな印象を与えます。



《蚊》

網の上からおぼろげに映し出された映像は、上半身の衣服を脱いだ男性の姿。
男性の肌の上には、網がうねるように変則的な格子状の模様が蠢きます。
幾重にもレイヤーを重ねて制作されたという映像。
《NUDE》とは対照的に男性性を強調した作品でありながら、水面を揺蕩うような儚さも感じられ、
パブリックイメージとしての男性の「強さ」の中に見え隠れする柔和性も感じられます。



ヨシダレナ



《過去省》

”あなたが過去の一点について書いた文章を、他の人の記憶と取り替えます”
過去を管轄している架空の組織『過去省』。
過去とは、自分自身を構成する記憶でもあります。
今回は「これまでの生活の中で最も良いと思った瞬間をひとつ書いてください」。
公の管轄でありながら氏名や住所を匿名化し、記憶だけを捻出させる作業は過去の自分自身とイマの自分自身と対話するという行為のよう。
こちらは¥300円で発行でき、他人の記憶と交換することができます。



《私》

他者の思考や考えを覗き見することが好きだというヨシダさん。
随所に水彩画が描かれた2冊の小説には、内容と感情が結びついた箇所に自画像が描かれています。
本の内容が自身の経験や感情とリンクすると安心感を覚えるというヨシダさん。
自分自身と真正面から向き合ったセンシティブな作品に皆さんも共感を覚えるのではないでしょうか。


身体を見つめ直す作業は、生きる上で不可欠な作業。
唇で、手で、記憶で、顔で。
身体を用いて身体へのアプローチを試みた本展は、国境を越え、性差を越え、突き詰めると生命を考える作業とも捉えられるのではないでしょうか。

本展示は3/6(水)まで。

SNS
タナカヒカリ:@iam_hikari
ヨシダレナ:@Qcue9

<スペース詳細はこちら>

[WEST 1-G]

staff kome