多摩美術大学写真部 『たまゆら』
多摩美術大学写真部
『たまゆら』
2018.9.26-2018.9.30
at EAST 301, 302
毎年9月の恒例となっている多摩美術大学写真部の学外展。
今年はEAST 301、302のスペースを広々と使う落ち着いた展示空間となっています。
今年は11人の有志で構成される多摩美術大学写真部の学外展。
テーマは『たまゆら』。
展示紹介文にはこうあります。
玉響(たまゆら)
微かな、ほんの一瞬の出来事。
ふっと通り過ぎてしまうような記憶を、
私たちは忘れない。
「微かな、ほんの一瞬の出来事」というのは、学生生活を象徴しているようでもあるし、写真という芸術そのものを表しているとも言えると思います。
清水 七海『hana to yume』
言葉の意味もさることながら、音の響きからも儚さを感じる「たまゆら」という言葉。
ゆらゆらと揺れている作品を見つけました。
一瞬の出来事を捉えるからこそ、なかには「こんな写真撮ったっけ?」と、その存在すら記憶の奥の方に置き忘れられてしまう風景があったりします。
それは人の記憶も同じで、そんな断片的な風景をランダムに並べて表現しているこの作品。
睡蓮を撮った中央の写真は、モネの一連の作品や、それらにインスパイアされた鈴木理策の写真作品を連想させます。
島津 琴美『日々のあいだ』
トレッシングペーパーでしょうか、柔らかい質感の紙にプリントした作品です。
多摩美術大学写真部の展示ではこのように、支持体自体に工夫が見られる作品が多いのも特徴かもしれませんね。
一つひとつは意味をなさないけれど、それがいくつか連なることによって、一つひとつの見え方が定義されてくるといった作品。一連の写真全体で「日々」が表現されています。
共通するのは光の捉え方がどれも柔らかく、暖かな印象を与えるということ。写真を「光画」と表現することもあるように、光それ自身が被写体とも言えるかもしれません。
徳永 二紀『こころ』
人の心は移ろいやすいものですが、そんな心模様を写真で表現した作品。
グラデーションのように刻々とその表情を変える空や、海や街が写る風景を、余白をたくさんとることにより、画面全体でひとつの色を表しています。
手持ち花火の写真なんかは、夏の終わりの寂しさを感じずにはいられません。
芸祭での展示も控えている多摩美術大学写真部の学外展『たまゆら』は、今週末9/30(日)まで開催。一人ひとりの作品をじっくり味わってみてください。