武蔵野美術大学造形学部
油絵学科油絵専攻2年 永島 悠伊さん
初の学外展をDESIGN FESTA GALLERYにて開催中です。
title「優しい顔<Gentle Face>」
「優しい顔」
物事に対して思考することが大好き、と仰る永島さん。
人間の思考や生活、日常的に考えていることを元に、作品を制作。
主に油絵の具、アクリル、色鉛筆といった画材を使用します。
支持体の上に盛られ、現れる物質感を大切にしたいという想いから、
水彩絵の具は使用されないそうです。
今作「優しい顔」は本展示に向けて、最初に手掛けた作品。
ご自身が住まわれている場所/地域がテーマです。
今作には、以下のコンセプト文をご紹介するのが一番適切と判断しました。
展示コンセプトについて
『やさしい顔』 という題ですが 、“顔” ということばに焦点を当てて作品を作っていきました。
“顔” を認識したときに私は単純に物体のつくりだけを見たりはしません、"表情" をうかがってしまいます。
逆に “表情” を物体から感じたとき、顔と言われるものが物体に無くともそれは “顔” であると考えます。
ヒトだけでなく街にも建物にも車にもモノにも顔があるように感じられるのではないでしょうか。
また、人の顔の中でも特に物語を感じさせるような部位もあると思います。
さまざまな"顔"を通して私の考える人の感情や物語を表現しました。
「母系遺伝」
表情の中、血管の様に薄らもう一つの表情が浮き出ている。
今作は実のお母様をモデルに制作された作品。
注視すれば、二つの表情を認識出来るし、
二つを統合し、一つの表情として捉えることも出来る。
「母系遺伝」
後者を選択した場合、右目と左目が異なった外見を持ち、
二つの意思が同居しているようにも見える。
遺伝という言葉にとらわれると、
個と個、二者の存在を意識してしまうが、
この度の描写方法を考慮し、作品鑑賞を続けているうちに、
内なる遺伝という(造語)がぽっと頭に生まれ、
私は一人では無いかもしれない、
そんなことを思った。
「展示会DM」
ちょっと話しは逸れてしまいますが
永島さんは、中学高校の六年間、女子校に通っており、
大学入学してから強く性差を意識したそうである。
ご自身は「女性」という立場に置かれ、
女性もチーフの絵画を多数制作されているが、
別段「女性」という立場を尊重したいわけではなかった。
男性と女性、性は二つだけではない。
またそれら全てが優越なくフラットになれたら良い。
そんなことを話して下さった。
ご自身を囲む環境とその環境下で育った私という女性。
内と外、だが主軸はやはり私。
私から始める外への意思疎通。
気になった方は是非展示会場に足を運んで欲しい。
作品を鑑賞することが第一ではあるが、
会話をすることも作家を作品を知る/楽しむ重要な手段である。
何よりも、
作家は来場される皆さんと作品の話を沢山したいと仰っている。
永島 悠伊 『やさしい顔』
会期:2015.10.19 - 2015.10.22
(ぱんだ)