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松藤昌久 『マツフジ 展』 [302:8/12]

本日のみの写真展、「マツフジ展」が行われております。


写真を撮るのは主に海外だそうです。こちらはオセアニアの空。

主に海外とは言え、観光地のモニュメントを撮ったり、壮大な自然を撮ったりする訳ではありません。単に松藤さんの琴線に触れるものがそこにあったというだけ。旅先の新鮮さから、そういうものが見つけやすいということなのかもしれません。

上の写真に写っているのは、破れたポスター。はじめはポスターの破れ具合や色の濃淡が目について面白いなと思ったのですが、見ているとだんだん余白が気になって来るんです。

 余白のアップです。壁のひび、えぐれ、コンクリートのグラデーション。テクスチャーが面白いんです。

こちらも一見口や人物が気になるんですが、見ているとやはり粗いテクスチャーが心地良く感じられます。

 こちらは日本で撮影されたものだそうです。
 アクセントとして自転車に乗る人影が映っていますが、こちらも一番面白いのは空の粗さや黒い地面なのかもしれません。

こちらはヨーロッパの教会。丸い硝子が面白いと思い撮影したそうです。硝子の丸さで柱がゆがみ、ピントがぼけ、祭壇がぶれてぼんやり写っています。

見ていると、硝子の丸が眼球、両隣の丸の輪郭と輪郭の隙間が白目のようにも見えてきます。硝子の眼球がとらえているのは、こちらに背を向けて立つ人。信者が前の方の席に固まって座る中ひっそりと一番後ろに立っています。彼女は何者なのか。

硝子で区切られた目がカメラの目で切り取られ、紙に焼き付けられ、遠く離れた島国で展示される意義をあれこれ想像すると、大変興味深い展示だと思うのです。

DF STAFF KOZUE