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星宮 みう 『個展 「喪失」』



星宮 みう 『個展 「喪失」』
2019.2.9-2019.2.15
[EAST T-1]

「彼女のことを忘れないで」
まるで自分への戒めのように吐き出された言葉。
この「トイレ」という閉鎖的な特殊空間は、「彼女」の少女性に囚われた人物の末路が見せたものだったのでしょうか。



EAST館にあるトイレスペース。こちらはレンタルスペースでもあります。
普段は出展者様や来場者様に解放していますが、展示中ももちろん使用することができます。
その空間を、あくまでも「いなくなった彼女を思い出す人物」の非常に個人的なスペースとして再現されています。





スペース内に貼られた「彼女」と思われる人物のイラストの数々。
これは頭の中のフィルターに閉じ込めた「彼女」との思い出なのでしょうか。
笑った顔、怒った顔、悲しんでいる顔、怯えている顔…
明るい思い出から、狂気を感じる光景まであり、スッと背筋が冷えていくのを感じます。



「彼女」はどんな性格だったのか。
「彼女」はどうしていなくなったのか。
「彼女」は自分を愛していたのか。
彼女が使っていたゲーム機や生理用品など、「彼女」が存在していた痕跡なのでしょうか。
ところどころに貼られた心の声には、「彼女」の「少女性」に囚われているよう。
便器に座ってみると、自分自身が空間にどんどん飲み込まれていくような恐ろしささえ感じました。



読書のためだけにトイレに籠る、という方がいるほど、自分以外には誰も共有できない非常にプライベートな空間。
非常に日常的な空間でありながら、心を落ち着かせたり、感情を無にできる特殊な空間でもあります。
忘れられない「彼女」を思い出すのはその「プライベート性」に込められた狂気なのか、はたまたこれは妄想が見せている光景なのか。

空間に込められた、一種の怨念のような狂気。
自分自身はこの閉鎖的な空間で普段一体何を思い、何を感じているのか。
自分の心の中にも、この狂気にも似た感情が秘められているのではないか…
そんな自己懐疑的な感情を想起させる独特の展示です。

展示は2/15(金)まで。

もちろん展示のみ鑑賞することも可能です。
あなたの中にも狂おしいほど忘れられない「誰か」はいますか?

Twitter:@hoshi_38_ 

<スペース詳細はこちら>

[EAST T-1]

staff kome