きょん 『Vanishing Point』
きょん
『Vanishing Point』
2018.11.16-2018.11.18
at WEST 2-B
デッサンやデザイン、製図の分野で頻繁に使われる用語でもある『Vanishing Point』=消失点。
そこから転じて、あるものが尽きる最後の一点、限界点という意味も含みます。
消失点の前後で消え入りそうに存在する、儚く透明感のある少女のポートレイト作品を描くきょんさんの初個展が開催中です。
今年6月に行われたDFGの企画展『ボーイゼンガールズ2』を経て、満を持して開催された本展示。作品点数も多く、さまざまなタイプの少女が描かれています。
子供から大人の境目を行き来しているような、不安定に揺らぎつつも内に秘めた力強さのある少女を描いているきょんさん。本展示の作品では笑っている表情のものはなく、憂いを帯びてこちらを見つめているものが多いのが印象的。
特に瞳がとても力強く、雄弁にこちらへ語りかけてくるかのような錯覚を覚えます。
特定の人物をモデルにしているのではなく、あくまでも自分のイマジネーションから生まれてくる少女を描いているというきょんさん。顔の造形だけではなく、髪型や衣装からも、それぞれの人物がもつキャラクターが見えて来ます。
「Mädchensstaat=女の子の国」というテーマで少女を描き続けて来たきょんさんだからこその創造力ですね。
作品はすべてアナログで描かれた原画ですが、「余白が少なくなってしまったので展示予定の作品を一部持ち帰った」というほど、今回の展示では作品数が多く、初個展ながらこれまでの集大成的な展示となっています。
まっすぐに作品と対峙して鑑賞をしていると、時折透明感の中にある表情の鋭さにドキッとしてしまうものも。まるですべてを見透かされているかのように凛とした表情でこちらを見据える姿には、壊れそうな脆さと彼女たち自身が持つ芯の強さ、その両方が同居しています。
と、ここまで儚げな少女画の数々をご紹介して来ましたが、部屋の隅っこにはこんな作品も。実はSNS上でひそかに筆者も楽しみにしている「おやすみランド」というシリーズ。
ご自身も「息抜き」と語るように、いい具合に力の抜けたゆる〜いテイストの作品ですが、「寂しいのはみんな一緒だよ」とストレートな物言いにハッとさせられます。コジコジのようですね。あとはなんといってもジト目がキュート。
最終日はご本人も在廊されているので、ぜひ会場にお越しください。
きょん
少女画家 / 神奈川県横浜市出身 / 東京都在住
【 展示スペース : WEST 2-B 】