BG SENSYOKU(相馬優美・野田真由香・柳川誠恵)
『SENSYOKU-garden-』
2016.2.21-2016.2.23
文星藝術大学大学院染織専攻に通う三人による展示。
奥深き染織の世界を堪能出来る濃密な展示会となりました。
相馬優美
こちらは相馬優美さんの作品。
質感や画風も手伝って日本画作品のように見えるこの作品は、
友禅染めによるもの。
細やかなディテールは「染める」ことによってそのすべてが表現されています。
「染める」という行程の性質上、色を挿して(染め物の世界ではこう呼びます)は乾かし、挿しては乾かしという作業を色ごとに繰り返し、布に描かれています。
こちらも同様。
大きさの分、完成までの途方もない作業が想像出来ます。
友禅染めと聞くと和柄をイメージする人が多いかもしれません。
相馬さんはそのイメージとは真逆を行き、ゴシック風の洋服を仕立てました。
これ、全部友禅染めです。
「まだまだ伸びしろはある。自分の制作を通じて友禅染めをたくさんの人に知ってもらいたい」と、新鮮味のある作品を展示しています。
野田真由香
同じ染織でも、技術や技法が違えばまったく別のものが出来上がる。
こちらは機織を専門とする野田真由香さんの作品。
オリジナルデザインのテキスタイルを織り、バッグを制作しました。
ビンテージ古着が好きということもあり、鞄の取手、底はビンテージ古着の素材を活用。
こちらは60年代のアメリカのレザーを使用しています。
中央には自身のロゴがレザーで刻まれています。
生地はデザインデータをPCを通して機織と連動し作られています。
しかし、実際に手を動かすのは自身。
そして糸の一本一本もすべて野田さんが手作業で染めたものです。
こちらのバッグの底部、そして取手は70年代のLevis製コーデュロイパンツを使っています。
細かいところまでとことんこだわっている作品たちです。
柳川誠恵
シルクスクリーンによるテキスタイル作品を展示しているのは柳川誠恵さん。
現代的でポップなパターンデザインが特徴的です。
学部生卒業時の卒業制作作品のためのデッサン。
ポップなデザインとは対照的にとことんまで書き込まれています。
ここからイメージを発展させ、
会場には数々のクラゲもチーフのテキスタイルが並んでいました。
クラゲを真上から見たパターン。
クローバーをモチーフにしたワンピースにクラゲのスカーフ。
パターンの可愛らしさもさることながら、色づかいも素敵です。
柳川さんのデザインを見たとき、どことなく北欧デザインのような雰囲気を感じました。
実際にその話をしてみると「いままでもずーっとこのような感じの作風だったけど、このままじゃ先は見えないと考えていた時に北欧デザインの存在を知った」そうです。
柳川さん自身、北欧デザインが好きなのだそうですが、それを自覚するずっと前からセンスを備えていたんですね。
作品を通して染織の奥深さと、アーティストとしての三人の矜持を知ることができる濃密な展示会でした。
まだまだ向上する三人、今後が楽しみです。
【使用スペース:EAST101】
DF STAFF isaka