バナーエリア

このブログを検索

阿久澤舞 阿久澤愛 『ハシラのキズ』


" ワタシたち、こんなに大きくなりました。 "

阿久澤舞さん、阿久澤愛さん。
姉妹での二人展が始まりました。




「 面 」

まずは 阿久澤舞さんの作品をご紹介します。

作品の核となるのは、勿論「面」なのでしょうが、
その背景/周囲にも神経を這わすように、
木片が打ち付けられている。

核だけにとらわれることなく、
一歩引いて、広い視点で作品を捉えていらっしゃる。



「 DOLL 」

実在しない生物で、構造もわからない生物。
一見、おどおどろしい印象を受けますが、
10秒くらい見つめてると、奥からじわっと溢れ出て来る。
女としての性といいましょうか。
あの作品もこの作品も、女の子に見えるのです。

そして、表面はやはり暗部に片足くらいは突っ込んでると思うのです。
悪そうな顔してる、でもその悪を悪と認識していない感覚。



部屋の上部に飾られた写真。
舞さんが作ったお面を被っての記念撮影。
これを見ると、先程述べた表面にある「悪」というものが伝えやすい。

悪そうな顔をしてる

それは濃厚な感情の存在を意味します。
私たちがいやがることはしないと思う。
もしそこに「負」があったとしてもここでそれは意味をなさない。


彼女の作品は表面を覆い隠し、
それでも隠しきれない生き物たちの温度を伝えてくれる。




「 とりもじ 」

続いては阿久澤愛さんの作品をご紹介します。
こちらは絵画作品であります。
配色の豊かさ、張りのある曲線。
表情というよりも、その姿形に注目してしまう。


「 生き物のいる世界 」

とりもじ が地に足を付けた作品だとすれば、
生き物.. は浮遊する作品。

題も描写も互いを補足するように、
曖昧さに漂い泳いでいる。

重力のない世界でかるく地面を蹴り上げて。


「 ロボくんと花」

そして最後に紹介するこちらの一枚は、
作家/愛さんの心情に浸された作品。
多才なアプローチを使い分ける愛さん。

水彩色鉛筆で描かれた情景。
作品中央から外れて、左側、台車で荷物を運ぶロボ。
抱えた重みと何もない作品中央。
その重さ、感覚で汲み取れる。

置き去りにしたもの、連れていくもの。
それらを「描いて/描かないで」描ききっている。


---

とここまで作品をご紹介しましたが


実はお二人、一卵性双生児の姉妹なのです!
(双子だってことで記事を書くのは嫌なので、ここまで書き進めてきましたがここで発表)

二人展という互いが反発しがちな構成においても、
舞さん、愛さんの作品はとても柔らかくて、
遠慮するでもなく、丁度空間にフィットし、満たされる。

同じ日に生まれたお二人は、多くの時間をより近い場所で
「並び/過ごし/生き」て、制作活動を続けてきた。


柱に刻んだキズを振り返って、その振り返ったこともまた記録に刻むために。
本日から三日間かけて公開中です。

展示期間は 9月5日(水) まで。
是非、ご鑑賞ください。

(ぱんだ)