合板で囲われた箱の中に頭部を放り込む女の子。
カメラを抱えた私が何も言わずとも、この体制をとってくれました。
へんな子です、とても。
でも、とてもやさしい作品を作る子なんです。
薄い板を組み上げて作った箱。
全て異なる大きさ、形、内容物。
nonoさんは 拾い上げる 感覚が素晴らしいと思う。
内容物の多くは既製品を放り込んでいるのだけど、
星の数ほど存在する「モノ」の中から、
あれ と これ とを選んで宝物のように閉じ込める。
気付けば彼らが元々与えられていた役目は消失し、
その代わりに、異なる魅力を与えられる。
また、その魅力というものは、
たいそうなもんじゃない。
" そこに在るという強さ "
彼本来の役目とかはもうどうでもいい。
役立たずに成り下がってもいい。
存在と不在とのコントラストをひたすら強めた情景は、
記憶に焼き付けたくなるほど。
しかし、存在の強さというのは、必ずしも作品の強さに繋がらない。
それどころか、作品の非力さを強調することにもなりかねない。
でも、それでもいいのです。
nonoさんの作品が担うのは、
「作品本体」と「隣接する物質/非物質」との間にある、
埋まることの無い裂け目に指を差し込んで、
ゆっくりと広げる行為。
痛く感じないように、と。
誰かに見せる為に、ごめんね、と。
素材として用いられている材木は表面を綺麗にまとうことなく、
ほとんどが地肌を晒す。
「手抜き」と言い換えてしまうのは淋しすぎる。
あえて、手を加えぬこと。
簡素な構造に設計したということ。
やはり、やさしい人だと思う。
この感覚、多くの人に味わって欲しい。
artist / nono ( 東京都市大学美術部所属 )
公開日は 8月12日(日) まで
(ぱんだ)