ART GYM、明星大学美術サークルの展示です。いつも媒体に捉われないダイナミックな展示をみせてくれるART GYMですが、今回も立体やミクストメディア、インスタレーションなどが多いです。
展示タイトルは『色i』
それぞれが好きな一色を選び、作品を作っています。「色がテーマだから何か一色選ぶか」という感じではなく、それぞれが切実に好きな色を選び、そこから真剣に作品を作っているのが伺えます。
瀬谷すみれさん 『田舎の人が好きな言葉知ってる?-村さき~』
瀬谷さんの好きな色は紫。名前が「すみれ」だというのも大きな理由の一つです。紫の食べものは少ないけれど、ブルーベリーなどおかしならあるかなということで、おかしの家になりました。それから「おかしといえば、おばあちゃん」という連想に繋がり、タイトルの駄洒落へと繋がります。
展示の一部でありテイクフリーのおかしが、チョコレートと梅しばだというのも興味深い。「瀬谷すみれ」という一人の人物が、そこに浮かび上がってくるような作品です。
千田崇史さん 『紫の女性』
千田さんが好きな色も、紫。紫の服をよく着る等のように、生活の中に紫をよく取り入れている訳ではなく、絵を描くことを考えた時に出てくるのが紫なんだそうです。千田さんの紫のイメージは大人っぽさ、神秘的。紫色で女性を描くことを通して、そうした紫のイメージを表した作品です。
阿部さんが好きなのは黄色。タイトルのAbsorptionとは吸光、つまり物質が光を吸収することです。阿部さんは光や光に透けることなどに関心があり、太陽や光のイメージである黄色が好きなのだそうです。同じ理由で、透明にも関心が高いのだとか!名刺やポートフォリオも透明の素材に印刷する凝りようです。こちらの作品も、ライトに透ける、垂れ下がったナイロン生地が印象的です。
とにかく黄色が好きで、キルビルやゴッホも大好きという黄色フリーク具合も面白い!
原 聖也さん 『Mad Hat』
黒という色とヒーローが好き!という原さん。本人も今日黒い服を着ていました。結構大きい作品で、どこで作って、どうやって運んで、その上どうやって壁に取り付けたのかという苦労を思うと、原さんの「黒とヒーロー」への本気が伺えます。見た瞬間はインパクトに圧倒されますが、その後で制作者の切実さがじわじわ伝わってくるような作品。自己紹介としてこの作品を見せたら言葉で言うより伝わるんじゃないか、そう思わされます。
その他にも興味深い作品がたくさん並んでいます。ART GYMのメンバーの、色への愛を感じに来て下さい!!展示を見た後、家に帰って一人になった時にふと、「一色選んで、自分の全てをつぎ込んで何か作るとしたら」と考える人が一人でもいたら嬉しいなあと、お節介ながら思うのです。